浄土真宗の永代経について 意味や聞きづらいお布施の相場など
永代経という言葉がありますが
一体どういう意味でしょう?
永代経という名前のお経でしょうか?それとも永代供養と同じもの?
永代経を辞書で調べてみるとこのように載っていますが↓
菩提寺や本山などが、檀家や信徒の依頼により、永代にわたって死亡者の毎年の祥月命日や毎月の命日に供養の読経を行うこと。
なるほど、自分では法事は行わず 後のことはお寺に任せてほっと一息ついて、肩の荷を下ろそうということでしょうか…?
もちろん違います(笑)
亡くなった方の追善供養というのは浄土真宗の教義には沿わないものです。すでにお浄土で仏さまになっているのですから。
永代経の意味
浄土真宗の永代経は永代読経の略となっています。
お手次のお寺の本堂に永代に渡って(いつまでも)お経(仏さまの教え)が子々孫々に続いていきますように。
そこからまた「お念仏の道場であるお寺が永きに渡って存続し、お念仏の教えが繁栄し続けるように」という願いが込められた意味にもなります。
だから「永代経懇志」を納めたからといってもうお参りをしなくていいわけではありませんし「懇志」はいわゆるお経代ではありません。
誤解の原因 永代経懇志を納めるタイミング
永代経の懇志を納める時期は決まっていませんが、故人の命日や満中陰(四十九日が終わる)で納める方が多いようです。
おそらくこれがお葬式からの流れの一部になって永代供養と混同される理由だと考えられます。永代経懇志はいつ納めてもかまいませんし何回も納める方もいらっしゃいます。
永代経懇志(お布施)の相場
お寺によってはいくらからと決まっているようですが、こちらも実は決まりはありません。
本堂に貼りだしてある懇志の紙を見ても五万円くらいの方もいれば二十万円の方もみえます。頂いた法名に院号までついていると高額になる傾向にあるようです。
納める際の封筒の表書きは「永代経懇志」と書き、水引を掛ける場合はいちおう慶事なので黄色と白になります。白い封筒に表書きをして懇志を納めてもかまいません。
ちなみに張り出している紙に納めた方のお名前ではなく亡くなった方の法名が書かれているのは、亡くなった方に代わって生きているものが納めるという考え方があるからです。
※金額はお寺とのお付き合いの濃さも関係するようです。檀家総代のご家庭で最高で100万円も見たことがあります。
お寺で勤められる春秋の永代経
上記の故人の命日をご縁に懇志上納者だけを招待して行われる法要は永代経開闢法要(えいたいきょうかいびゃくほうよう)等といいます。
またそれ以外にも誰でもお参りできる永代経法要もあります。浄土真宗の一般のお寺では春分の日、秋分の日の辺りでお寺で永代経の法座が開かれます。
勤行の後、法話もありますので是非一度ご参加下さい。その際の参加費としての懇志は1000円~2000円くらいの方が多いようです。
ちなみに本山や別院では毎日勤められますので僧侶と一緒にお参りすることができます。誰でも参加できます。
※だいたい阿弥陀経~御文章(御文)を拝読して所要時間20分くらいです。各所の別院のホームページで時間は確認できます。
永代経を納められた方の法名
永代経懇志を納められた方の法名はお寺の法名軸などに記帳され、春秋の永代経がお勤めされる際に本堂に掲げられます。
余間(よま)と呼ばれるご本尊が安置されている場所の両側のスペースを探してみてください。掲げないお寺もありますが(^^;
浄土真宗の永代経について最後にまとめると
正しい永代経の考え方
〇故人の供養のために納めるのではない
〇永代に渡りお念仏の教えが広がりますようにという遺志を受けて故人の代わりに納める
〇お念仏の道場としてお寺が末永く存続しますようにという願いがこめられている
間違った永代経の考え方
×永代経懇志を納めたので代わりにずっとお経をあげてくださるので安心です。
×永代経懇志を納めたので御仏壇もお寺もお参りしなくていい。
×故人の供養になった。
永代経懇志は「お寺を護持しいつまでもお念仏の道場としてみ教えが伝わっていくように」との願いがこめられています。またそうした願いによりお勤めされるのが永代経法要なのです。
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