仏教の天界って何?天国と浄土との違いについて
天国、浄土、天界の違いについて
六道輪廻の中の最高位にある天界ですが、お浄土と同じ意味ではありませんし、同じ天という字が付いても天国とも異なるものです。いったいどういうものなのか考えていきたいと思います。
天国
日本では主にキリスト教の理想郷をあらわします。神を信仰するものが死後に召されていく場所です。
※仏式のお葬式に「天国で安らかにお眠りください」と弔電を送るのは実は間違いです。
天国と浄土はキリスト教と仏教の違いじゃない?と漠然と違う場所だなと認識している方も多いのではないでしょうか?
ややこしいのは浄土と天界の違いです。
天界
「天道」とも言われ、六道輪廻の人間界の一つ上の世界。前世で善行を積んだ者が行くことができます。四天王をはじめ多くの神が住み、仏教の世界を守っているといわれます。人間界よりも上の世界ですから、よい世界であるとは言えそうです。
天人が住み、美女もいれば美酒もあり庭園には美しい音楽が流れ、あたかも極楽のような描写ですが、永遠にいられるわけではありません。
※神々が云々の天界もありますが、ここではあくまで六道輪廻の仏教的天界ということにします。
浄土
極楽、お浄土、極楽浄土など呼び方も様々で、煩悩にまみれたこの世「穢土」に対して悟りの世界「浄土」となります。六道輪廻を抜け出した先に待っている世界です。
一般的に浄土というと阿弥陀如来が築いた西方極楽浄土をさすことが多いです。仏説阿弥陀経によるとお浄土には色とりどりの蓮華が咲き、八功徳水という大変よい水がたたえられており、金、銀、瑠璃、玻璃(水晶)で飾られた美しい世界だとされています。
浄土真宗では人は死ぬと阿弥陀如来に救いとられて浄土に生まれると説きます。
※補足:阿弥陀如来以外の浄土
霊山浄土 釈迦如来
密厳浄土 大日如来
東方瑠璃光浄土 薬師如来
龍華浄土 弥勒菩薩
ほか
※浄土が複数ある点もキリスト教の天国(唯一の神に召されて行くところ)とは異なる部分です。
<スポンサーリンク>
浄土と天界の違い
双方の違いは天界は永遠ではないということと、天界というのはまだ六道輪廻の輪の中から抜け出しておらす、迷いの世界の一つで次に生まれるのは人間界なのか?地獄界なのか?もわからない状態だということです。
そして源信の記した往生要集によると天界を離れるべき時には「天人五衰」という兆候が現われるといいます
第一衰 頭上華萎 頭の花飾りがしぼむ
第二衰 衣服垢穢 着ている衣服が汚れてくる
第三衰 脇下汗流 脇の下から汗が流れ出す
第四衰 身体臭穢 体が汚れ臭いを発する
第五衰 不楽本座 今の境遇が楽しくなくなる
そして天界を去る時の苦しみは地獄以上だとされています。
※地獄よりもいい世界だと思いきや^_^;
天界と浄土どちらがいい世界なのか?
一時的な楽しみか、六道輪廻を離れて永遠に悲しみ苦しみから解放されるか。やはり浄土に軍配が上がりそうです。
温泉などに入ったときに「いや~天界、天界」とはいいませんしね^_^;
あまりふざけてると怒られそうですが…
参考になれば幸いです。
関連記事
-
-
浄土宗と浄土真宗の違いについて 教義お経仏壇など
浄土宗と浄土真宗どう違うのか?浄土宗、浄土真宗ともに南無阿弥陀仏とお念仏をとなえれば必ず極楽浄土に往
-
-
無宗教でお葬式をする方法 気をつけることは?
無宗教で葬式をしたい 普段からお寺とは付き合いがない。とくに仏教徒というわけでもないのにお葬式だけ
-
-
浄土真宗の写経について※般若心経ではありません
浄土真宗の写経について まず最初に写経と聞いて思い浮かべるのは般若心経ではないでしょうか?写経=般
-
-
【徹底比較】浄土真宗東本願寺、西本願寺のお仏壇の違いとは?
東本願寺と西本願寺のお仏壇の違い 東西本願寺のお仏壇の違いを画像で比較してみました。画像を並べてみ
-
-
浄土真宗の葬儀で読まれる 弔電の一例
浄土真宗の葬儀の際、読まれる弔電について 以前も紹介しましたが、浄土真宗の法要儀式での"ご冥福
-
-
100均で買える仏具 セリア編
100均で買える仏具 セリア編 法事やお盆に必要になる仏具。仏壇仏具店で購入するのが一般的ですが、
-
-
長年放置したおりんや真鍮製の仏具をきれいにする裏技(荒技)
おうちの仏壇にこんな仏具ありませんか? お盆や法事が近づくと気にはなりますが、見ないようにしていた
-
-
歎異抄の名場面 唯円坊 親鸞聖人に極楽浄土に関する疑問をぶつける
歎異抄の名場面 第九条より 歎異抄は門徒たちの間で広がった異説や間違った解釈を正すために唯円が書い
-
-
お仏壇の金箔部分を洗浄する方法 グリター編
黒ずんでしまったお仏壇の金箔 長年たまった埃やヤニをきれいにしたいけど、色んな本やサイトに "金
-
-
浄土真宗 枕経(臨終勤行)について 必要なものやっておくべきこと
浄土真宗の枕経(臨終勤行)とは 亡くなっていこうとする人がお仏壇の阿弥陀様に対して"人生の終わりに