浄土宗の数珠について
浄土宗の数珠について。銀色の輪が特徴で独特の連なった形をしていますが、この形になった由来や意外と間違いやすい正しい掛け方を紹介。
また数珠というだけあって合掌礼拝だけでなく数珠の玉を使った浄土宗独特のお念仏の数え方も解説します。
浄土宗の数珠がこの形になった理由とは?
昔々、法然上人の弟子である阿波介(あわのすけ)という人物が毎日熱心にお念仏を唱えておりました。
最初 お念仏の回数を数えるために数珠の珠を繰っていましたが、珠を通す紐が頻繁に切れてしまうため、そのたびにお念仏が中断してしまい困ってしまいました。
何かいい方法がないかと考えたところ、両手にそれぞれ数珠を持って数えるようになりました。これで紐が切れなくなり、お念仏も途切れずに唱えられるようになったということです。
その阿波介の信仰心とアイデアに法然上人も感心したと伝えられています。
後年これを元に称念上人が現在の二重の形を考案されたといわれています。
間違いやすい浄土宗の数珠の持ち方
独特の二重の形状になっている浄土宗の数珠ですが、普通の一重の数珠のようにこのように房を手前に垂らすように持っていませんか?
実はこれ間違いなんです。
一重の略式の数珠のクセで二重の方も手前に垂らす姿がよく見かけられますが、浄土宗の数珠はこのように自分の方に房を垂らすのが正式な持ち方です。
背筋を正し指は閉じて、ひじの角度は45度くらいが美しい角度と言われています。また浄土宗ではジャラジャラと数珠を擦りあわせて音を出したりはしません。
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浄土宗の数珠を使ったお念仏の数え方
浄土宗の数珠はお念仏の回数を数える法具としても使われます。ちょっと難しいですが、浄土宗の数珠を使ったお念仏の数え方です。
まずこのように数珠を手に持ちます。
房の付いてない方の輪(A)を親指と人差し指で支え、人差し指と中指でもうひとつの房の付いている方の輪(B)をはさみます。房は下に垂らすように持ちます。
お念仏を一回唱えるごとに(A)の輪の珠を一つ手前に動かします。(A)の輪が一周したら(B)の珠を一つ手前に動かします。
(B)の輪が一周したら(C)の房の珠を一つ上に動かし、(C)のすべての珠が上に行ったら、今度は(D)の珠を上に上げていきます。
※お念仏を唱え続ける限り、Aは絶えず動かし続けなけらばならないので慣れるまで大変です^_^;
数珠珠の数にもよりますが、すべて珠を使い切ると3万回お念仏を唱えられるということで浄土宗の数珠は「日課三万遍数珠」と言われます。法然上人は一日六万回お念仏を称えられたそうです。
浄土宗では念仏一会と言って、回数を定めずとにかく一心に南無阿弥陀仏とお念仏を称えなさいというお勤めの仕方もあります。由来や形状などお念仏ありきの数珠といえそうです。
参考になれば幸いです。