お寺に税務署がやって来た! 宗教法人への課税非課税について
お寺に税務署がやって来た! 宗教法人への税金について
お坊さんって税金払ってないよね?
よくみなさんが疑問に思われることですが、じつは税金は個人としては払っているというのは以前軽く紹介しました。
坊主丸儲けという言葉から連想されているものだと思われますが…
関連ページ:お坊さんって大変じゃないの?年収は?
簡単に流れを説明すると お寺にお金が入る際、そこには税金は発生しませんが、お寺から給料としてお坊さんがもらう時には所得税、住民税、健康保険などが引かれますし個人で確定申告もしています。
お寺(宗教法人)に対して非課税なもの一例
・不動産取得税
・事業税
・印紙税
・固定資産税
・都市計画税
・登録免許税
・所得税
・宗教法人の所有財産の相続税
・法人税など
お寺(宗教法人)に対して非課税なもの具体例
・葬儀、法事で檀家から受け取るお布施
・寺院内で販売したロウソク、線香
・お墓の永代使用料、年間管理料
・境内地や壇信徒用駐車場にかかる固定資産税
※ただし月極駐車場で継続的に利益を得ると課税対象
申請しないと無税にならないものも
例えば参拝者用の無料駐車場用の土地を取得した場合、
・登録免許税
・不動産取得税
・固定資産税
上記を非課税にするには檀家用にするという証明と手続きをする必要があります。用意する書類も結構煩雑です。
本堂と駐車場の位置関係を市町村が精査し宗教活動に必要かどうかを判断されるため
境内地証明、売買契約書の写し、境内地図面、境内建物配置図、土地の登記事項証明書などを提出します。
ほっといたら税金を請求されてしまうので大変です。
こういうのを適当にやってるせいで税金を払っているお寺はあるのではないでしょうか?
煩雑な手続きはあるとはいえ、この守られ方は まるでお寺を守るために仏さまが作った結界のようです。
うらやましいな~と思ったあなた
じつはお寺にもこの世の閻魔大王である税務署はけっこう来たりするんですよ!
税務署の調査は事前に連絡があり、ニュースやドラマで見るような国税庁の職員が段ボール箱を次々運び込む光景とはちょっと異なります。
一般の店舗や会社のように金庫やレジを開けて頂けますか?帳簿を出して頂けますか?とあくまで協力をお願いする形で調査は進みます。
※お寺に金庫はともかくレジはないでしょうが
お寺に税務署ケース1
葬儀の後
もちろん毎回ではありませんが檀家さんが葬儀のお布施を高額で申告した際に調査を受けたりします。
葬儀にかかった費用はお寺へのお布施も含め、相続財産から控除になるため 実際より高額を払ったと申告する檀家さんもいるそうです。
寺の帳簿と檀家さんが税務署に申告した額に差が出る、そうすると「領収書を見せてください。差額は住職の所得です」と請求されることもあるそうです。
通常はお布施に領収書など発行しないため困ったことに…
※葬儀から時間が経過し相続税額が確定してしまうと、お役所対応で檀家の方を信じる傾向にあります。
お寺に税務署ケース2
門前に掲げた寄進者一覧を見てくる
本堂を立て直す等大きな事業を行った際、よく門外に掲示されます寄付金一覧。
これに「住職 金壱千萬円(1000万円)」と掲示したところ税務署の調査が入りました。
1000万円の内訳はすべてが住職個人のお金ではなく半分の500万円はお寺からの支出でした。そうすると税務署はそのお寺からの500万円は給与に当たると指摘してきました。
お金の流れを明確にしないとお寺といえども税務署は飛んできます。
お寺に税務署ケース3
住職の代替わり時
住職を引退して退職金をもらった際、それが給与なのか賞与なのか退職金なのか?お金の流れが不明瞭ということで調査が入るハメに
退職して息子に住職を譲ったものの、お寺の実権を実質握っていたり、引退前のように活動していると退職金ではなく賞与とみなされ所得税を課税される場合もあります。
一般の会社と違って退職金に関する規約がナアナアだったため目を付けられたケースです。
退職金にかかる所得税はお寺に限らずかなり優遇されていますが、賞与とみなされると税金をごっそりいかれます。
檀家総代会で退職金に関する規約(具体的な金額の算出方法など)を作れば問題ないのですが、お金のことなので言い出しづらいでしょう^_^;
お寺の相続はさらに大変なことも
住職が突然亡くなった場合、お寺のプール金、本堂、仏具に相続税はかかりませんが、自分の跡継ぎの子供がいないと建前上はお寺から出て行かなければなりません。
(お寺の建物は個人の所有物ではなく宗教法人のもの。後から来た跡継ぎだけが独占できます。住職一家は建物を使わせてもらうのを担保に、法人の宿直室に24時間詰めているという扱い)
兄弟がいる場合も問題が出ます。宗教法人の財産は後を継いだ住職の総取りとなるため、分配が不可能です。
例えばお墓は次男へ、有名な仏画は三男へという故人の持ち物ではなく法人のもののため分配相続ができません。
誰が継ぐか出て行くか、揉めることは火を見るよりもあきらかです。
檀家は減る一方で増える見込みがない、派手にお寺を宣伝広告するわけにもいきません。
僧侶の中にはサラリーマンの方がいいよという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
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