護摩行とは?
護摩とはサンスクリット語の「ホーマー」が語源でそれを音写して護摩(ごま)と言われるようになりました。「焼く」「炊く」という意味になります。
もともとバラモン教の宗教儀式に由来し、仏教が起こるよりはるか前、紀元前13世紀頃インドに入ってきたアーリア人によって行われたといわれます。
バラモン教の宗教儀式だった護摩行は中国に伝わると、仏教に取り入れられて密教に伝わり、やがて日本にも伝えられました。
日本へは真言宗の宗祖である空海が中国から伝えたといわれ、空海は護摩による祈祷に長けていたとされ、川崎大師のように空海を厄除けのご本尊としているお寺もあるくらいです。
護摩行のやり方は?
護摩堂というお堂の中にご本尊と護摩壇を安置します。
※やり方やご本尊は宗派によって異なる場合がありますので今回の御本尊は不動明王ということにします。
護摩壇の中央に開けられた火炉に護摩木と呼ばれる薪(たきぎ)を投げ入れ勢いよく燃やし、手で印を組み不動明王真言を唱えます。そして一心に祈りながら今度は火炉へ供物を投げ入れます。
この供物はお米、小麦、小豆などを投げ入れますが、祈願内容によっても変わることもあります。
護摩行の際に唱えられる不動明王真言
煩悩の消滅、祈願成就のため、ひたすら唱え続けます。
のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろしゃだ そわたや うんたらた かんまん
何のために護摩木を燃やすのか?
護摩の炎は不動明王の背負う炎を表しています。また不動明王は大日如来の化身であることから護摩の炎は仏の智慧も表しています。
投げ込まれる護摩木はただの木片ではなく、私たちの煩悩を表しており、護摩行というのは仏の智慧の炎で煩悩を焼き尽くすという意味合いの儀式となります。
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護摩行による御利益は?
また護摩行には先述の煩悩を焼き尽くす儀式の意味の他に祈願成就のためにも行われます。
護摩行による主な御利益は四種に分類されます
息災(そくさい)
自然災害、病気等の災いを取り除く
増益(ぞうやく)
健康の増進、商売や学業の成功など
敬愛(けいあい)
恋愛成就、人間関係の和合
調伏(ちょうぶく)
魔物(災い)など敵をくだすこと。こちらは呪術的な要素も強いため阿闍梨(あじゃり)という高い修行を積んだ高僧しか行いません。
空海によってもたらされた護摩行が現世利益をかなえてくれると当時の貴族の間で強く信じられたため真言密教が貴族層から多くの支持を集めたと考えられています。
スポーツ選手の間でも行われる護摩行
護摩行は集中力や忍耐力などの精神修行になるということで、広くスポーツ選手の間でも取り入れられています。
プロ野球選手もシーズンオフに護摩行をするのをスポーツニュースで見かけますね。
プロ野球選手がシーズンオフに訪れることでよくスポーツニュースに登場するのは鹿児島の烏帽子山最福寺です。広島の新井貴浩選手は04年の年末に護摩行を初めて行い、翌05年に本塁打王のタイトルを獲得しています。
こちらのお寺は元監督の野村謙二郎氏や元広島で元阪神の監督の金本知憲氏も護摩行を行ったことでも知られています。
また2015年には日ハムの中田翔選手も東大阪市の鞍馬山護国院で護摩行を行なっています。
護摩行を体験できるお寺一覧
関東
清龍寺不動院
埼玉県和光市白子2-15-47
妙音院
千葉県館山市上真倉1689
中部
倶利加羅不動寺
愛知県名古屋市守山区青葉台101
関西
金花山宝泉寺
京都市右京区京北下熊田町東旦15
天王山命教寺
大阪府箕面市栗生間谷
九州
烏帽子山最福寺
鹿児島県鹿児島市平川町4850-1
護摩行を自分でやるのは難しいし…
天台宗や真言宗のお寺では毎月二十八日(不動明王の縁日)に護摩が焚かれるお寺が多いです。自分で護摩行を行うのはちょっと敷居が高いので、お寺に置かれている木札に自分の名前と願い事を書いて、お寺様にお炊き上げの供養をしてもらうといいかもしれません。
また郵送で護摩供養を受け付けているお寺もありますので真言宗や天台宗のお寺に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
参考になれば幸いです。
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