失敗した写経用紙を無駄にしないためにできること。写経用紙を捨ててしまう前にごらんください。
写経を書き損じしたときに直す方法
精神修養やお遍路の際、各札所に納経ということで納めるためにたくさん写経される方もいらっしゃると思います。
そこでどうしても発生してしまうのが、誤字脱字などの書き間違いです。序盤に間違えてしまった場合は新しい写経用紙に最初から書き直しても精神的ダメージは少ないですが
弘法にも筆の誤りとはいいますが、写経で失敗してしまった時どうしたらいいでしょう?
鉛筆と違って墨で和紙に書くのでもちろん消して直すなんて難しいですが、実は一定の作法に則って修正することができます。
写経の道場や宗派によって多少異なる場合はありますが、修正方法を般若心経を例にとって解説したいと思います。
写経の書き間違い誤字をしてしまった場合
間違えて書いてしまった文字の横に「、」を書いてその横か行末の余白に正しい文字を書き加えます。通常はスペースの都合上、行末の余白に書き加えることが多いそうです。
「若」と「苦」を書き間違えています
似た漢字にには注意が必要です。
写経の書き間違い文字を脱字してしまった場合
抜かしてしまった部分の上下の文字の間に「、」を打ち本来書くべきであった文字を横に書くか、行末の余白に脱字した文字を書き入れます。
※「、」ではなく「~」を抜かした箇所の右側に書く場合もあります。
「空」の字を一時抜かしています
「色即是空空即是色」の部分に注意。「空」1回書いたしな…と飛ばしてしまうのはわりとあるのでは?
写経で文字を重複してしまった場合
わりとレアケースだと思われますが、こちらも修正にルールがあります。
重複してしまった文字の右側に「、」を打ち重複してしまったしるしをして、その分書けなかった文字を行末の余白に書き入れます。
※「、」ではなく縦に()をつけて抹消する場合もあります。
写経の文字の順番を前後してしまった場合
文字を見つめすぎて目がチカチカしてくるとこれは意外とやってしまいます。「レ点」を前後してしまった文字の右側に入れます。
「空」と「中」の順番が逆です
レ点で直すとはなんだか漢文のようですね(笑)
写経の書き損じをしないために
写経を始めるとだんだん筆が乗ってきて一気に書き上げてしまいたい!そう思いがちですが、時々筆を止めて経文を見直しながら書き進めていくのも失敗しないための一つの方法です。
写経をしていると自分の心の落ち着きの度合いがよくわかります。「今日はミスが多いし、落ち着かないな」と思ったら日を改めるのもいいかもしれません。
※写経の会に参加するとそういうわけにはいきませんが(笑)
またお手本を見ながらするよりも、般若心経があらかじめ書かれた下敷きをしいて写経をすると格段に間違いが減りますが…
写経の書き間違い まとめ
いろいろ紹介してきましたが、もちろん小細工せずに修行の一環として最初からやり直してもかまいません。ただ誤字があるからといってゴミ箱にポイという扱いは避けたいものです。扱いについては納経所やお寺様にお問い合わせ下さい。
写経所食口帳断簡という古文書によると、官立の写経所に勤めていた経師(写経を専門にする職員)は校正時に誤字が見つかると罰金を科せられたそうです。(出来高払いだったとのこと)
我々現代人は誰でもできる精神修養ということで、写経を過度に力を入れすぎず楽しみながら行いましょう。
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