真宗高田派の法事法要 仏具の並べ方 事前に用意するもの
真宗高田派の法事で準備用意するもの
真宗高田派の法事(主に年忌法要)について。どのような準備が必要か紹介していきます。あらかじめ必要な物や打ち合わせを済ませ、余裕を持って当日を迎えてください。
年忌を勤める年は一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌くらいまでは共通ですが地方や宗派によって異なるため詳しくは菩提寺にお問い合わせ下さい。
まず法事の前に予め決めておくこと
お寺との日時の相談
祥月命日(故人の亡くなった日と同じ日)がベストですが、なるべく多くの親族が集まれる日を選びましょう。法事は土日祝日に集中する傾向にありますので、少なくとも2か月くらい前までには相談しましょう。
何よりお寺様の都合をお聞きし2,3候補日を考えてから相談するとスムーズです。よく法事は「早くするのはいいけど、遅くするのはいけない」といいますが、後回しにしてうっかり忘れないようにとの先人の戒めだと考えられます。
命日の前よりも後の方がゆったりと故人を偲ぶことができるならその日にしましょう。阿弥陀様に救われお浄土におられる先祖です。遅くしたからといって迷ったり怒ったりバチを当てるような先祖はあるはずもありません。
誰を呼ぶかを決める
一周忌、三回忌は亡くなってから2年続きますので親戚一同に加えて故人と親しかった方とで勤められることが多いです。七回忌以降は近親者だけのことが多いようです。
気心の知れた間柄なら電話でも問題ありませんが、日時の聞き間違いを避けるためにもハガキでお知らせしたほうが無難で丁寧です。日時が決まったらなるべく早めにお知らせしましょう。
引出物を用意する
法要に参列して頂いた方への感謝の品を用意します。よく半返しと聞くことも多いですが年忌法要の場合、お供え(御仏前)を頂いた額にかかわらず約2000円~5000円くらいの品が相場のようです。
持ちかえるのにかさばらないものがよいでしょう。高田派の年忌法要は不祝儀ではありませんので熨斗を白黒ではなく黄白にします。表書きは「志」がよいでしょう。
お斎(おとき)法事後の会食をどうするか
まずお店へ移動するのか?お寺の一室をお借りするのか?決める必要があります。お斎には法要の後に僧侶や参列して頂いた親族、故人の知人に感謝の気持ちを込めるという意味がありますが、最近では行わないことも増えてきているようです。
その場合は引出物と一緒に料理を折詰めにしたものを持ち帰って頂くとよいと思われます。必ず精進料理でないといけないわけではなく、法事後の会食であることをお店に伝えておくとそれに応じてメニューを提案して頂けます。
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当日を迎えるにあたって
お仏壇の中の仏具を所定の位置に
津の本山に近い地域ではお仏壇の下段に前卓(まえじょく)を置き、そこに打敷を掛け上に三具足(左から花立て、炊き香呂、蝋燭立)を配置します。
本山から離れるに従って東西本願寺のやり方が混ざり中段に前卓、その上に三具足(中央に飾り香炉)を配置します。中段にろうそく立を置くと中に火が立ち上り危険なので下段に一本立ての蝋燭立、その隣に炊き香炉(スジ香炉)を配置します。
お仏壇の形によっても変わってきますので詳しくはお寺様とご相談下さい。
※便宜上本山式、名古屋式と表記しましたがそんなワードはありません(笑)迷ったら本山式がよいでしょう。
お仏壇(主に金仏壇)の左右に下がっている桐輪灯(きりりんとう)は物理的に無理な場合や家具調仏壇の場合は省略されます。また写真は三具足ですが大きいお仏壇の場合五具足(ろうそく立て×2、香炉、花立×2)の場合もあります。
高田派の桐輪灯▼
打敷を掛ける▼
打敷(うちしき)とは三角形をした金襴の敷き物です。一般的に打敷といいますが、高田派ではとくに角掛(すみがけ)と呼びます。報恩講や年忌法要の際には必ず掛けるようにしましょう。また報恩講のお参りではより丁寧に下掛けという四角い布を掛けることもあります。
お仏飯、華瓶(けびょう)の用意
丸く蓮のツボミ型に盛ったお仏飯(おぶっぱん)をご本尊の前と、右側の掛軸が親鸞聖人の場合そちらにもお供えします。高田派ではお湯のみでお水はお供えせず華瓶(けびょう)という小さい器に青木を一対さしてお飾りします。
おけそく(丸餅)の用意
供笥(くげ)におけそくをのせましょう。お仏飯や華鋲と同じ上段にのせるか、物理的に無理なら中段か下段の左右に配置しましょう。のせる数に厳密な決まりはなく同じ数ずつ左右に重ねてお供えします。落雁をお供えすることもあります。
線香蝋燭、お花の用意
線香はなるべく香りが良い物を、蝋燭は白の和ろうそくを用意します。仏花は本山では高田の一本松と呼ばれる松一式が飾られていますが、一般のご家庭では棘や毒のある花は避けた四季折々のお花をお供えしましょう。
経机、御書の用意
お仏壇の前に経机(きょうづくえ)、その左側に御書(ごしょ)を配置します。経机というだけあってお経の本を読む為の台です。お寺様がいらっしゃった時はこちらでお経の折本を広げられますので、上に何も置かないようにしましょう。御書は法要中に拝読して頂きます。
高田派と東西本願寺との違い
違い①追善供養を完全には否定していない
高田派は他の浄土真宗の宗派とは違い追善供養を完全に否定しているわけではありません。「繙御書(ひもときのごしょ)」には「没後にはまた追善をもととして報恩のつとめおこたるまじきものなり」とあり、御書のほかの部分にも追善に関する記述が見られます。高田派では追善は人間の自然な感情であるとしまったく否定しているわけではありません。
違い②お位牌を配置してもよい
お位牌も東西本願寺は原則配置しないのに比べて高田派は、世間一般で配置するのが通例となっているためこれを否定していません。本山が発行する資料にも配置した図が掲載されています。配置するなら御本尊の正面をさけて左右に配置しましょう。
違い③数珠の持ち方が独特
数珠は他の宗派と違って房を下に垂らさず親玉(一番大きい玉)が上に来るように持ちます。
違い④焼香の作法
お香をつまみ一の字に火種へ三回焼香し、終わったら合掌して念仏を三回称え、頭を下げながら二回称えます。合掌する時の念珠は親玉が上に来るようにします。
※西本願寺や東本願寺との違いはお念仏の回数に決まりがあることです。
東西本願寺が浄土真宗初代の親鸞聖人から代々子孫に受け継がれているのに対し高田派は親鸞聖人の門弟の系譜から派生しています。そのため独自のお参り方法が一部用いられているようです。
法事の準備の参考になれば幸いです。
関連ページ:浄土真宗西本願寺、東本願寺の違いについて
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