
身内に不幸があったけど お寺には所属していないし仏壇もお墓もない状態
漠然と「お葬式は世間的に仏教式が多いから我が家もそうしたい」
明確なビジョンがないうちに葬儀が始まるまでの時間が迫っている
そんなタイミングで葬儀屋に「仏式なら宗派はどちらにされますか?」「お世話になっているお寺がなければご紹介します」
こういう時 「故人が傾倒していたので 日蓮宗で」などと明確に決められる人はほとんどいません。
だからと言って いいかげんに決めてしまうと後で後悔することになりかねません。
よくやってしまうのが
そうなると提携しているお寺をテキトーに紹介されますが 宗派によって葬儀の内容が変わってきますし、その後の法事の内容も変わってきますが
いいんですか?自分で決めなくて?
葬儀の直前で困らないように宗派だけはあらかじめ決めておくことをおすすめします。
まず疑問 宗派って自分で決めていいの?
勝手に自分の意思で宗派を選んでいいのか?

宗派は多くの場合 生まれた時から家の所属寺が決まっているので選ぶ機会はなかなかないと思います。
しかし日本では信教の自由が認められていますので 何を信じても何を信じなくても支障はありません。
自分で決めた宗派にして問題ありませんし 一度決めたからと言って一生信仰しないといけないなんてこともありません。
江戸時代みたいに宗旨人別帳で管理されているわけではないので いざとなったら宗旨替えすることも可能です。
まずは困らない程度に選んでおきましょう。
宗派を決める一つの基準

ここで宗派を決める際に参考になる基準を
宗派決めの主なパターン
・親戚縁者と同じ宗派にする
・その地方に多い宗派にする
・友人知人にお寺の人がいるのでその宗派にする
・坊さんに推しがいる
親戚縁者と同じ宗派にしておく
親戚と同じ宗派&同じお寺にしておくのが一番後で揉めづらい無難な選択です。
「うちは分家(新家)だから」というおうちは本家と同じ宗派にしておき 同じお寺を紹介してもらいましょう。
あらかじめお願いしておくのがベターですが、親戚経由で急に頼んでもお葬式はビッグイベントなのでお坊さんは駆けつけてくれることも多いです。

※地方によっては自動的に本家と同じお寺になり選択肢がない場合もあります。
住んでいる地域で一番多い宗派にしておく

別に本家とか分家とかしがらみがない場合 その地域で一番多い宗派にしておくのも無難な選択肢の一つです。
※葬儀屋か仏壇屋に聞いてリサーチしてからにしましょう。
季節のお参りやお盆など地域によって異なる風習がある地域も多いです。
どのようにお参りの準備をしたらいいのか迷った時にご近所の方に聞いて乗り切ることが出来ます。
友人知人にお坊さんがいるのでその宗派で

これはできれば元気なうちにお願いしておく必要がありますが お坊さんとご縁のある方はその方のお寺の檀家になり お寺の所属宗派にするよろしいでしょう。
人柄もわかっていて一番気が楽なパターンでもありますが お布施など金銭がからみますのでその辺はご注意ください。
坊さんに推しがいる

私は空海が好きだ!(真言宗) 俺は法然だ!(浄土宗)
好きなお坊さんがいれば その宗派にするものいいかもしれません。一番日々のお参りに気合が入るパターンです。
他にもたまたま法話を聞きに行って出会った(ご縁のあった)先生の宗派を選ぶのもよろしいでしょう。(檀家にしてもらえるもらえないは別として)
宗派選びのポイント
上記を踏まえて 葬儀屋から宗派に合ったお寺の紹介を受ける または生前に宗派を決めておきましょう。
それでも宗派が決まらない人はどうしたらいいか?

どうしても決められない人には浄土真宗にしておくことをおすすめします。
ちなみに仏壇屋の私が「どこにしたらいい?」と聞かれると個人的には浄土真宗をおすすめしています。
浄土真宗をおすすめする理由

浄土真宗がおすすめな理由あれこれ
・亡くなると同時に仏さまになっている
・祭壇に必要なものが少ない
・法名の金額が明瞭
・お盆の準備が簡単
浄土真宗は亡くなると同時に仏さまに成っている

浄土真宗では故人は亡くなると同時に阿弥陀様のおはたらきにより浄土に往生し仏さまに成る(成仏する)という考え方です。
仏となった故人は浄土から還ってきて 迷いの世界に生きる遺された私たちを 導いてくださる。(還相回向)
インチキ占い師に「供養が足りないから故人が苦しんでいる!」と言われても「あ 浄土にいますんで」と安心が得られます(笑)
日々のお勤めもまずは南無阿弥陀仏とお念仏することから始めましょう。
葬儀の祭壇に必要なものが少ない
浄土真宗で省略できるもの
・火を絶やさないように寝ずの番
・遺体に旅装束、守り刀 寝床に逆さ屏風
・友引の日に葬儀をしてはいけない
・中陰段で茶碗に箸をぶっ刺さす
・死者が迷わないように提灯を用意
これみんなしなくていいし必要ありません。
線香やろうそくの明かりを頼りにあの世に行こうとしているわけではなく すでに浄土で仏さまに成っているので寝ずの番は必要ありません。
提灯や旅装束 渦巻き線香(24時間燃える線香)が見積もりに入っていたら断ってOK。たまに飾られている黄金の蓮の花も本当はいりません。費用の節約にもGOOD
法名の金額が明瞭

法名は生前にもらっておけば 自分の好きな文字を入れて「釈〇〇」と三文字なら2万円(亡くなってからでもせいぜい数万円)
西本願寺の場合 院号をもらうなら20万円(本山へ納める)と明朗会計となっており 頭を悩まさなくて済みます。
はみ出た金額は闇の中です
お盆の時に特別なことをする必要がない
一般的な宗派でお盆の時に必要なもの
一般的なお盆といえば
・送り火迎え火
・盆提灯
・きゅうりとなすの牛馬
・豪華な祭壇
これみんな用意する必要ありません。お盆もいつも通りに過ごしてかまいません。
盆提灯は地域によっては用意しますが 教義的には必要ありません。提灯の明かりを頼りにあの世から帰ってくるという考え方がないためです。
あとは喪中という概念がないので年末年始もいつも通り過ごしても問題ありません。
以上が迷ったら浄土真宗をおすすめする理由です。(ラクだし)
宗派選びについて最後に
前述の通り 一度選んだからと言って後で替えられないわけではありません。
葬儀屋に一任して失敗した例も度々聞く話です。元気なうちに決めておくことは終活の一環となり残された人への負担を減らします。
ぜひ一度ご家族で話し合ってみてください。